持ち家と賃貸はどちらがお得?メリット・デメリット比較検証

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住宅、生命保険、車(または教育費)は人生の3大出費と言われますが、なかでも住宅は最大の買い物です。

住まいのスタイルは、持ち家(所有権住宅)と賃貸住宅に大きく分けることができます。持ち家の購入費はもちろん高額になりますが、賃貸の家賃も生涯にわたって支払う額を合計すれば莫大な金額になります。

今回の記事では、日本の持ち家率などの実態をまとめた上で、持ち家の購入にかかる費用、賃貸にかかる費用をまとめたいと思います。そして持ち家の購入と賃貸でかかる費用の比較や各々のメリット・デメリットを整理したいと思います。これからの将来、持ち家を購入しようか、賃貸のままいこうか迷っている方がいれば、ぜひ参考にしていただければと思います。

目次

1.日本の持ち家率、空き家率の実態

  • 1-1.日本の持ち家率は約6割。若年層に見られる持ち家率の低下の要因は?
  • 1-2.空き家率が上昇し、持ち家の資産価値維持も難しい時代に

2.持ち家の購入時、賃貸の契約時にかかる諸費用・税金について

  • 2-1.持ち家の購入時にかかる諸費用・税金について
  • 2-2.賃貸の契約時にかかる諸費用について

3.持ち家と賃貸を徹底比較!どちらがお得?

  • 3-1.持ち家と賃貸の50年間の維持費を比較
  • 3-2.持ち家は頭金や住宅ローンの金利で総支払額が全然違う!
  • 3-3.持ち家はいつ購入するかのタイミングも重要!
  • 3-4.賃貸は老後の家賃が不安だが、ライフスタイルの変化には強い
  • 3-5.持ち家と賃貸のメリット・デメリットまとめ

4.持ち家か賃貸かは損得ではなく、自分のライフプランに合わせて考えることが重要

5.まとめ

1.日本の持ち家率、空き家率の実態

まず、日本の持ち家率や、空き家率について書いていきたいと思います。

1-1.日本の持ち家率は約6割。若年層に見られる持ち家率の低下の要因は?

平成25年の統計局による住宅・土地統計調査によると日本の持ち家率は61.9%となっています。5年前に比べると0.8%(141万戸)増加していますが、1978年以降ずっと60%前後を行ったり来たりをしているため、ここ約35年間はほぼ変わっていないと考えて良いでしょう。

図1:持ち家住宅率

持ち家住宅率

引用:平成25年住宅・土地統計調査(統計局)

しかし、家計主の年齢別で見てみるとある傾向が見て取れます。まず年齢別で見ると、2013年(平成25年)は20代は25歳未満で4.0%、20代後半で11.6%と想定通り持ち家率が低いですが、30代になると30代前半が28.9%、30代後半が46.1%と30代を超えると一気に住宅取得のモチベーションが上がって、持ち家率が高くなる傾向にあることがわかります。

さらに、過去データと比較すると年齢が若くなるにつれて昔と比べると持ち家率が低くなっていることがわかります。1978年当時は一気に持ち家率が上がる年代は20代後半で持ち家率が約30%に達していました。このデータから昔に比べ若年層の持ち家購入のモチベーションは低めであるということがわかります。この要因としては、昔は一人前になったらマイホームを建てるというのがステータスになっていましたが、現在は自分のライフスタイルに合わせて賃貸か持ち家かを判断する人が増えている可能性や、別記事「確実に貯まる!20代の貯金を成功に導く9つの手順【決定版】」で書いた通り、約35年前に比べ若年層の給与水準は低下しており昔の若年層との財力の格差による可能性もあると思います。または、近年の晩婚化により20代・30代の単身世帯が増加していることも可能性の一つと考えられます。このように様々な要因が重なって、昔の若年層に比べ、現在の若年層は持ち家購入モチベーションが低く、そもそも「持ち家を購入すべきか、賃貸のままいくべきか」ということをなかなか判断できずにいるのではないかと考えられます。

図2:家計主の年齢階級別持ち家世帯率

家計主の年齢階級別持ち家世帯率

引用:世代別の持ち家と借家の割合をグラフ化してみる(2015年)(最新) – ガベージニュース

元データ:平成25年住宅・土地統計調査(統計局)

1-2.空き家率が上昇し、持ち家の資産価値維持も難しい時代に

また、そんな若年層の持ち家購入を迷わすさらなる要素として、近年上昇する住宅の空き家率があります。日本では現在、人口が減少し、少子化も進んでおり、年々住宅の空き家率が上昇しています。都心部など今後も人口増加が見込まれるところや、新幹線やリニアモーターカーが開通するところなどでは、地価が下落せずに資産価値を維持できるかもしれませんが、そうでないところは、資産価値を維持するのが難しくなるかもしれません。そして、このまま空き家率が高くなりつづければ、格安賃貸も増加する可能性がありますし、優良かつ格安の中古住宅も出てくるかもしれません。今、持ち家を購入して良いものか、今後の将来を考えるとかなりの悩みどころだと思います。

図3:空き家数・空き家率の推移

空き家数・空き家率の推移

引用:平成25年住宅・土地統計調査(統計局)

 

図4:都道府県別空き家率

都道府県別空き家率

引用:平成25年住宅・土地統計調査(統計局)

2.持ち家の購入時、賃貸の契約時にかかる諸費用・税金について

さて、ここまでは持ち家率や空き家率など日本の住宅の実態をご説明してきましたが、兎にも角にも悩んでばかりもいられませんので、ここからは持ち家の購入と賃貸にかかる費用についてご紹介していきたいと思います。まずは持ち家の購入時、賃貸の契約時にかかる費用をまとめたいと思います。

2-1.持ち家の購入時にかかる諸費用・税金について

時々、住宅を購入する費用として物件価格の費用だけを想定している人がいますが、住宅を購入するには物件価格以外に諸費用(登記費用や手数料、税金など)が別にかかります。諸費用の総額は、新築の場合は物件価格の3〜5%、中古住宅の場合は、物件価格の7〜10%程度になります。

図5:住宅を購入するときに必要になる主な諸費用 ※画像をクリックすると拡大します。

住宅を購入するときに必要になる主な諸費用

さらに大半の人が住宅ローンを組んで住宅を購入すると思いますが、頭金ゼロで住宅ローンを組むと、借入額がかなりの額になるため、毎月の返済額が高額になり、家計がかなり苦しくなります。最低でも購入時に物件価格の20%程度の頭金を準備する必要があるでしょう。「頭金がゼロでも購入可能!」という謳い文句をよく耳にしますが、実際に頭金なしで買うのはやめておきましょう。ローンの借入額は少なければ少ないほど安心です。(また、契約時に申し込み意思の確認や、解約をされないように申し込み金や手付金がかかる場合が大半です。)

2-2.賃貸の契約時にかかる諸費用について

住宅の購入に比べて賃貸はもう皆さんご存知の通り、そこまで諸費用も複雑ではなく、下記のように敷金や礼金、仲介手数料と火災保険料、前払い家賃とお馴染みの諸費用がかかり、合計の費用感は大体家賃の3〜5ヶ月分程度の金額になります。

図6:賃貸の契約時に必要になる主な諸費用 ※画像をクリックすると拡大します。

賃貸の契約時に必要になる主な諸費用

3.持ち家と賃貸を徹底比較!どちらがお得?

続いては、持ち家と賃貸の生涯の維持費やメリット・デメリットで見ると、持ち家と賃貸ではどちらがお得なのでしょうか?

3-1.持ち家と賃貸の50年間の維持費を比較

50年間の維持費をシミュレーションしてみると、例えば下記のような条件にすると実は同じくらいの維持費になります。物件の価格や住宅ローンの金利、家賃、何度住み替えるか等で金額は異なってくるので、単純には比較できませんが、一般的な家庭のライフスタイルを想定していますので、参考になると思います。

図7:持ち家と賃貸の50年間の維持費比較 ※画像をクリックすると拡大します。

持ち家と賃貸の50年間の維持費比較

3-2.持ち家は頭金や住宅ローンの金利で総支払額が全然違う!

上記のケースでは物件価格3500万円、頭金を20%の700万円、住宅ローン2800万円を年利2.5%固定金利、35年返済という設定ですが、頭金を1000万円、住宅ローンを2500万円にすると同じ年利2.5%で借りても返済総額は約450万円も違ってきます。

また、住宅ローンは金利によって、ローン返済額に大きな違いが出てきます。例えば下図のように2800万円の借入金で年利2.00%だとすると総返済額は約3896万円ですが、年利が3.00%と1.00%上がるだけで、総返済額は約4525万円となり、629万円もの差があります。

図8:金利によるローン返済額の違い(35年返済の場合)

金利によるローン返済額の違い(35年返済の場合)

3-3.持ち家はいつ購入するかのタイミングも重要!

持ち家の場合、購入してしまったらあとはローン返済期間中は何があろうとずっと返済金を支払い続けなくてはいけないため、購入のタイミングも重要になります。例えば、20代で家を購入すれば、35年返済の住宅ローンを借りても定年前にローンを完済でき、老後の住居費コストを抑えることができます。その代わり、子供が増えるなど、将来の家族構成の変動を予測しづらいのが難点です。想定よりも家族が増えると手狭になり、買い替えの必要が生じる可能性があります。

一方、家族構成の見通しが立つ40歳前後で購入すれば、その間、貯蓄もできるので頭金も増やせるはずです。ただし、その場合、定年前に住宅ローンを完済しようとすると長期間ローンが組めないので、借入額を抑える必要が出てきます。あるいは、定年を過ぎても支払い続ける可能性もあります。このように購入のタイミングは、物件選ぶや資金計画を大きく左右します。

3-4.賃貸は老後の家賃が不安だが、ライフスタイルの変化には強い

持ち家の場合、転勤や転職、収入減少などで、今の家に住み続けることができなくなった場合、売却せざるをえなくなりますが、そのときに大きく値下がりしているリスクや、なかなか買い手が現れないというリスクもあります。

しかし、賃貸は住み替えがしやすく、家族構成の変動や転勤、転生、収入の減少に対応しやすいメリットがあります。場合によっては、仕事の職種、会社の業績の見通しなどライフスタイルの変化も検討材料にしておく必要があるでしょう。

3-5.持ち家と賃貸のメリット・デメリットまとめ

上記、費用やタイミングやライフスタイルの変化を軸に持ち家と賃貸の比較をしてきましたが、それ以外にも持ち家と賃貸の違いメリット・デメリットはいろいろあります。例えば、新築分譲マンションには、広いリビングや収納スペースはもちろん、最新式のシステムキッチン、床暖房完備、浴室暖房乾燥機など、設備には目を見張るものが数多くありますが、賃貸住宅では建設コストを抑えるために、設備面を充実させることができない事情があったりします。このような持ち家と賃貸のメリット・デメリットを下記にまとめましたので、参考にしていただけたらと思います。

<持ち家のメリット・デメリット>

  • メリット
    • 資産として残せる
    • 住宅性能・設備が優れている
    • 自由にリフォームできる
    • ローンの完済後は、住居費の負担が軽くなる
    • ローンの完済後は、老後の住まいが確保できて安心
    • 不動産市況によっては資産価値が増す
    • 不動産に関して勉強するので、知識が増えて住居関連のお金のことに強くなる
  • デメリット
    • 初期費用が大きい
    • 一定以上の収入のある人でないとローンを借りにくい
    • ローンの返済中に収入が減るとダメージになる
    • 税金や修繕費など物件以外の費用がかかる
    • 不動産市況などによって資産が大きく下がる
    • 転勤や転職の時に、引っ越しにくい
    • 大きな買い物だけに物件選びに労力がかかる

<賃貸のメリット・デメリット>

  • メリット
    • 初期費用が少なくてすむ
    • 収入の少ない人や正社員でなくても住まいが確保できる
    • 転勤や転職の際、引っ越ししやすい
    • 家賃以外のお金(修繕費など)があまりかからない
    • 家族が増えたときなどに対応しやすい
  • デメリット
    • 借りる時に保証人が必要
    • 老後も家賃を払い続けなくてはならない
    • 賃貸仕様で住宅性能・設備が見劣りすることが多い
    • 自由にリフォームできない
    • ファミリータイプの手頃な物件が少ない

4.持ち家か賃貸かは損得ではなく、自分のライフプランに合わせて考えることが重要

ここまで持ち家と賃貸を徹底比較してきましたが、皆さん薄々もうお気づきだと思いますが、結局言えることは単にお金の損得では決められないということです。実際にはどのような働き方をしたいか、生活をしたいかというライフプランによって、持ち家が良いか賃貸が良いかというのは変わってくるのです。

ちなみに、最後に補足しておきますが、お金のこと以外を考えずに持ち家と賃貸を比較すると、同じ物件を対象とした場合、どちらがお得かは自明です。賃貸人は自分の利益を上乗せして賃借人に貸しますので、賃貸人の方がお得、つまり持ち家の方がお得に決まっているのです。でも個々のライフプランや様々なタイミングが組み合わさるとこれは全く一概には言えなくなるのです。

5.まとめ

今回は人生で一番高い買い物と言える住宅の究極の選択「持ち家か、賃貸か」について書いてみましたが、いかがでしたでしょうか?個人的な意見としては、今回いろいろ考えてみて、比べれば比べるほど個々のライフプランによるなと思いました。結局は自分が下した選択を信じて生きていくことが大事なのではないかなと思います。

ただし、何の知識もなしに持ち家か賃貸かを選んでしまうと大きな損や失敗をしてしまう可能性があるので、今回の記事を是非皆さんにも参考にしていただいて、ご自身の選択に役立てていただければと思います。住宅は人生で一番高い買い物です。しっかり勉強して後悔のない選択をしましょう。

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