今回は「ふるさと納税」について書きたいと思います。年々ふるさと納税を行う人は右肩あがりで増えており、興味がある人も多いでしょう。しかし、なんとなく難しそうで、なかなか手を出せないという人も多いと思います。
今回は、そんな「ふるさと納税」について初めての人でもわかりやすく徹底解説したいと思います。なぜ、ふるさと納税が生まれたのか、メリット・デメリットは何か、ふるさと納税の仕組みや進め方、スケジュール等まで網羅的に細かく解説していきたいと思います。
「ふるさと納税」は申請等にある程度の手間は取られるものの、知れば知るほどお得な返礼品があったり、やらなきゃ損かもと思う制度だったりするので、ぜひ興味がある人はこの記事を読んで、チャレンジしてみてください。この記事がふるさと納税に興味があったけどなかなか一歩目を踏み出せなかった方の役に立てば嬉しいです。
目次
- 1-1.ふるさと納税が生まれた背景
- 1-2.ふるさと納税を行う人は年々増加中
- 1-3.ふるさと納税のお得なポイント
- 1-4.ふるさと納税した人の口コミ、控除例
- 2-1.ふるさと納税のメリット
- 2-2.ふるさと納税のデメリット
- 2-3.ふるさと納税の注意すべきポイント
- 3-1.ふるさと納税の仕組みの概要
- 3-2.ワンストップ特例制度とは
- 3-3.ふるさと納税で確定申告が必要な人とは
- 4-1.ふるさと納税の手順や流れ(ワンストップ特例制度)
- 4-2.ふるさと納税の手順や流れ(確定申告が必要な場合)
- 4-3.ふるさと納税のスケジュールについて
- 5-1.ふるさと納税の控除額の計算方法について
- 5-1-1.ふるさと納税の限度額 例1:課税所得が200万円の場合(配偶者控除なし、扶養控除なし)
- 5-1-2.ふるさと納税の限度額 例2:課税所得が500万円の場合(配偶者控除なし、扶養控除なし)
- 5-1-3.ふるさと納税の限度額 例2:課税所得が200万円の場合(配偶者控除あり、扶養控除あり)
- 5-2.自分の課税所得を把握する方法
- 5-3.ふるさと納税限度額の早見表、シミュレーターについて
6.簡単にふるさと納税するのにおすすめの「ふるさと納税サイト」
- 6-1.ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」
- 6-2.ふるさと納税サイト「さとふる」
- 6-3.ふるさと納税サイト「ふるなび」
1.ふるさと納税が注目されている理由とは
さて、まずはふるさと納税が注目されている理由について、そもそもふるさと納税が生まれた背景から解説していきましょう。
1-1.ふるさと納税が生まれた背景
「ふるさと納税」が生まれたのは2008年ですが、きっかけは2006年3月に日本経済新聞のコラム記事として掲載された「地方を見直す「ふるさと税制」案」というものでした。このコラムを政治家が取り上げ、そこから議論が活発化していくこととなります。地域間の税収の格差をどう解消していくか、地方で生まれ育った人たちも大人になると都市部に出て行ってしまい、逆に老後は生まれ故郷に戻って過ごす人も増えてきており、地方の税収をどう増やすかが議論されてきました。そして、2006年10月に当時の福井県知事だった西川氏が「故郷寄付金控除」なるものを提言し、これが「ふるさと納税」のはじまりと言われています。その後、2007年7月に研究会で宮城県知事の村井氏、山形県知事の斎藤氏、鳥取県知事の平井氏、徳島県知事の飯泉氏、佐賀県知事の古川氏の5人の県知事が共同で「ふるさと納税制度スキーム」が発表し、これが現在の「ふるさと納税」のベースになっていると言われています。このように地域間の税収の格差をなくし、地方の税収を増やす目的として2008年から「ふるさと納税」は開始されました。
1-2.ふるさと納税を行う人は年々増加中
下図の通り、ふるさと納税を行う人は年々増加傾向にあり、2016年度の実績は、受入額が約2.8億円、受入件数は1271万件に上っており、2008年度に比べ、受入額は約35倍、受入件数については約240倍にもなっており、特に2015年度以降はふるさと納税を行う人が急増していることがわかります。
図1:「ふるさと納税」の受入額と受入件数の推移(※クリックすると拡大画像が閲覧できます。)
参考:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果」平成29年7月4日
「ふるさと納税」が導入された当初は知名度が低く、ふるさと納税を行う人はほんの限られた人のみでした。しかし、2011年の東日本大震災によって、ふるさと納税は注目を集めるようになります。東日本大震災の被災地には全国から多くの支援や寄付が集められましたが、その一つの方法として多くの人たちに利用されたのがふるさと納税でした。それ以降、ふるさと納税の知名度は上がり、多くの人が興味を持つようになりました。さらに、2015年4月に行われた法改正により、さらにふるさと納税を行う人が急増することになります。その法改正の主な内容としては、1点目は、一定の条件を満たせば5件まではふるさと納税に対する確定申告が不要になったことです(ワンストップ特例制度)。2点目は、ふるさと納税による控除額が2倍になったことです。一般の人にはハードルが高い確定申告がなしでふるさと納税ができるようになったことが特にふるさと納税受入数の急激な増加につながったと言えるでしょう。その後さらにメディアで取り上げられるなどして、ふるさと納税の受入数は増加し続けています。
また、総務省が日本の全地方自治体(1788団体)を対象に調査した「ふるさと納税に関する現況調査結果(平成29年7月4日)」によると、ふるさと納税が増加した理由として最も多く挙げられていた理由は「返礼品の充実」で1021団体(57.1%)。続いて「ふるさと納税の普及、定着」が1020団体(57.0%)、収納環境の整備(クレジット納付、電子申請の受付等)が747団体(41.8%)、「HP等の広報の充実」が580団体(32.4%)、「平成27年度における制度拡充(ふるさと納税枠の倍増、ふるさと納税ワンストップ特例制度の創設)」が538団体(30.1%)、「使途、事業内容の充実」が169団体(9.5%)、「震災・災害への支援」が90団体(5.0%)となっています。ふるさと納税が多くの人に利用されるようになったことにより、地方自治体も自分たちの地方をPRする等、自分たちの街の魅力を積極的に発信するようになりました。
1-3.ふるさと納税のお得なポイント
「ふるさと納税」の生まれた理由やふるさと納税を行う人が急増しているのは前述の通りですが、なぜふるさと納税が人気なのでしょうか?ふるさと納税のお得なポイントはどんなものなのでしょうか?メリットやデメリットの詳細は後ほど解説しますが、まず簡単にふるさと納税の人気の理由をご紹介したいと思います。
<「ふるさと納税」が人気の理由>
- 好きな地域に寄付できる
- 複数の地域に寄付できる
- 税金の使い道を選ぶことができる
- 寄付額に応じて、税金が還付または控除される
- 寄付した自治体からお礼の品がもらえる
→実質2000円の自己負担で、その額以上の返礼品をもらうことができる
「ふるさと納税」が人気な理由の1つとしては、自分の生まれ育った故郷はもちろんのこと、自分が気に入っている地域等、好きな地域に寄付できることが挙げられます。さらに、どこか1つの地域だけではなく、複数の地域に寄付することが可能で、税金の使い道も選ぶことができます。そして、何と言っても一番の人気の理由は寄付額に応じて、税金の還付または控除が受けられ、かつ寄付した自治体からも返礼品等のお礼を受け取ることができる点になります。これにより実質2000円の自己負担で、数万円の返礼品をもらうことも可能になっており、非常にお得な制度となっているのです。
1-4.ふるさと納税した人の口コミ、控除例
実際にふるさと納税を行った人がどんなふるさと納税先を選んで、どんな返礼品をもらっているのでしょうか?口コミをご紹介したいと思います。
石岡市は通常でも、10kg5500円の米を15kgもらえるので、還元率にすると82.5%と高い自治体です。和歌山県田辺市は還元率100%です。1万円の寄付で1万円分の梅干しが届きます。北海道日高市も5000円の寄付で5000円分のししゃもが届きます。
上記のようにふるさと納税額に対して還元率100%のような高還元率の返礼品が存在します。各自治体は寄付金を集めるために返礼品の高額化合戦を繰り広げており、寄付額と同じだけ、もしくはそれ以上の返礼品を出すというような地方自治体が出てきていました。しかし、2017年4月に、このような返礼品の高額化合戦を本来の趣旨からずれるとして、総務省は返礼品を寄付額の30%までに抑えるように地方自治体に要請を出しました。この要請に従うかは強制ではないですが、今後それなりに還元率は落ちていく可能性はありますが、それでもお得なものが多いの現状です。
岡山の白桃は味・香り・姿ともに日本一といわれており、乳白色の透き通るような美しい果皮と、甘くて上品な香りが特徴的です。「桃の女王」とも呼ばれるほどの、別格の桃です。そんな高級白桃ですが、調べてたところ、岡山市に1万円の寄付をすると白桃3玉をいただけるとのこと。ということで、早速ふるさと納税をしました。
引用:【ふるさと納税】岡山県より旬の高級白桃をいただきました -ふるさと納税でとにかく美味しいものを探す
今回は、宮崎県西都市に2万円の寄付をして、太陽のタマゴ3玉をいただきました!太陽のタマゴはその厳しい基準のため、宮崎県で生産されるマンゴーの中でも数少なく、希少な一品です。その分値段も高くなりますが、見た目、品質、食味とも格別なのです。ちなみに、お取り寄せで購入しようとすると大きさにもよりますが、1玉8000円以上します。高すぎる!こんなに高いマンゴー、自分では絶対買えないので、ふるさと納税でいただけるのはうれしいですよね。ということで、3月ころにふるさと納税をして、5月中旬に届きました。
引用:【ふるさと納税】宮崎県西都市より、太陽のタマゴをいただきました!感動の味です。 -ふるさと納税でとにかく美味しいものを探す
お肉なら個人的には都城市に寄付してます。1万円の寄付で豚肉4kgなどの量が半端ないです。
引用:ふるさと納税でおすすめの自治体があれば教えてください。 – 知恵袋… – Yahoo!知恵袋
昨年末に10000円寄付した宮城県名取市からお礼の品、ヱビスビール詰め合わせが届きました。寄付から商品の到着までは2週間ほどでした。価格:約4000円前後(ネット調べ)還元率:約40%
このように、ふるさと納税では、果物から野菜、肉、魚やビールなどのその土地の特産物の大半をお得にゲットすることができます。さらに、最近では、下記のような体験系の返礼品や家電など、返礼品のバリエーションもかなり豊富になってきています。
<その他返礼品の例>
- 乗馬レッスン
- マリンスポーツ体験
- 座禅体験
- テーマパーク招待チケット
- 温泉ペア宿泊
- お食事券
- 陶芸体験
- 貸切プラネタリウム
- クルージング
- ノートパソコン
- デジカメ
- タブレット
2.ふるさと納税のメリットとデメリット
上記でふるさと納税が人気な理由については簡単にご紹介しましたが、続いてはふるさと納税のメリット・デメリットや注意点についてご紹介したいと思います。
2-1.ふるさと納税のメリット
まずはふるさと納税のメリットですが、下記のような点がメリットになります。
<ふるさと納税のメリット>
- 好きな地域に寄付できる
- 複数の地域に寄付できる
- 税金の使い道を選ぶことができる
- 寄付額に応じて、税金が還付または控除される、寄付した自治体からお礼の品がもらえる →実質2000円の自己負担で、その額以上の返礼品をもらうことができる
- クレジットカード決済が可能なところもある(ポイントが貯まる)
上記のふるさと納税が人気な理由でも簡単に書きましたが、最大のメリットは、ふるさと納税を通して好きな地域に寄付をすることで、自己負担2,000円で、その額以上の返礼品を寄付先の自治体等からもらうことができるという点でしょう。その他にも寄付したお金、つまり税金の使い道を選ぶことができるという点もいままではできなかった魅力的なポイントです。そしてクレジットカード決済が可能な地方自治体もあり、ポイントも貯まるというメリットもあります。
2-2.ふるさと納税のデメリット
続いて、ふるさと納税のデメリットですが、下記のような点がデメリットになります。
<ふるさと納税のデメリット>
- ふるさと納税の申請等にそれなりの手間がかかる
- ふるさと納税の限度額や控除額の計算がややこしい
- 住民税の控除(減額)については翌年分の適用となる
これはもうしょうがないことかもしれませんが、ふるさと納税をしようとすると当然、申請等にそれなりの手間がかかります。後述するふるさと納税サイトを利用したり、ワンストップ特例制度を利用することで、申請はかなり楽になってきていると思いますが、一定の手間はどうしてもかかってしまうでしょう。また、こちらも後ほど詳細を解説しますが、ふるさと納税の金額については所得や家族構成等により2000円の自己負担で済む限度額が決まっていて、その計算がややこしいというのもデメリットに挙げられると思います。後ほど具体的な計算式も紹介しますが、ふるさと納税サイト等にて限度額の早見表やシミュレーターを用意していますので、楽になってきていますが、詳細な限度額を出そうとするとなかなかややこしいという点もデメリットかと思います。あとは、こちらも詳細は後述しますが、ふるさと納税をすることで主に住民税が控除されて実質2000円の自己負担でそれ以上の返礼品を受け取れるわけですが、その住民税の控除が翌年分からの控除になるという点も人によってはデメリットになるかもしれません。
2-3.ふるさと納税の注意すべきポイント
メリット・デメリットを踏まえた上で、ふるさと納税の注意すべきポイントもまとめておきたいと思います。
<ふるさと納税の注意すべきポイント>
- 2000円の自己負担金はどうしてもかかる
- ふるさと納税を2000円の自己負担で抑えるには限度額がある
- 場合によっては、確定申告が必要になる
- 年末ギリギリに申し込みが殺到するため年末には希望する返礼品が品切れになる可能性がある
- クレジットカードの名義が本人でないと税金の控除が適用されない可能性がある
- 名前や住所等に変更があった場合は変更届けを提出する必要がある
- 寄付先の返礼品のルールを確認しておこう
まず1点目の注意点は「2000円の自己負担金はどうしてもかかる」ということです。寄付した分だけ丸々税金が控除されると勘違いしている人もいますので、ここは要注意です。
2点目はふるさと納税の金額については所得や家族構成等により2000円の自己負担で済む限度額が決まっているという点です。計算式等は後述しますが、限度額を超えて寄付してしまうと自己負担金が2000円以上になってしまうので気をつけましょう。
3点目は寄付先やその他条件によって確定申告が必要になる場合があります。後述のワンストップ特例制度が適用されない人は確定申告が必要になりますので、この点も要チェックです。
4点目はふるさと納税を申し込むタイミングの話ですが、やはり申請締め切りの年末にふるさと納税の申し込みは集中する傾向にあります。そうすると人気の返礼品が少なくなってきたりするので、年明けの方が人気の返礼品が狙いやすくなるので、人気の返礼品をゲットしたい人はタイミングについても気をつけましょう。
5点目はクレジットカードに関する注意点です。基本的にはふるさと納税は税金を払っている本人が行うことなので、例え申し込み作業を専業主婦の奥さんが行ったとしてもクレジットカードは本人名義のもので決済することをおすすめします。
6点目は住所変更に関する注意点です。年内に名前や住所等に変更があった場合や変更の予定がある場合は、「申請事項変更届書」を翌年1月10日(必着)までに提出する必要がありますので、注意しましょう(確定申告する人は不要です)。
最後7点目は寄付先の返礼品のルールについての注意点です。各自治体において返礼品の受付リセット時期や居住場所等によってルールを設けている場合があります。例えば、受付リセット時期が1年間というルールがある場合、年をまたいで一年間に2回(例えば今年の12月と翌年の3月)ふるさと納税を行った場合、返礼品が送られてくるのは12月のみということになります。また、居住地域のルールとして、自分が住んでいる地域に寄付した場合返礼品が受け取れない場合や、逆に自分が住んでいる地域に寄付した場合限定の返礼品があったりします。もし良いなと思う返礼品があった場合は、必ず各自治体のサイトも確認しておきましょう。ふるさと納税サイトに掲載されていても、各自治体のサイトをみると受付終了していたなんてこともあるかもしれないので、この点も要チェックですね。
3.ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税の概要が分かったところで、ここからはふるさと納税の仕組みについて詳しくご紹介していきたいと思います。
3-1.ふるさと納税の仕組みの概要
ふるさと納税は前述の通り、特定の地方自治体に対して寄付することで、住民税の控除と所得税の控除(還付)が受けられることにより、実質2000円でふるさと納税先の地方自治体から様々な返礼品がもらえるものというものでした(ふるさと納税額の限度額は所得等によって変動します)。その全体像を図にまとめると下図のような感じになります。
図2:ふるさと納税の仕組みの概要(※クリックすると拡大画像が閲覧できます。)
ふるさと納税をするとふるさと納税先団体(地方自治体など)からお礼(返礼品等)を受け取ります。そして、税務署からは所得税の控除(還付)を受け、住んでいる市区町村(都道府県)からは翌年度分の住民税の控除(減額)を受けることができるのです。所得税の還付や住民税の控除の詳細の内訳は下記のようになります。
図3:ふるさと納税の控除の内訳(確定申告する場合)(※クリックすると拡大画像が閲覧できます。)
ふるさと納税は都道府県や市区町村に対する寄付金として、住民税の寄付金税額控除と所得税の寄付金控除を受けることができます。住民税の寄付金税額控除としては、その他寄付金と同様に基本控除として「(ふるさと納税額 – 2000円)×住民税率(10%)」の控除を受けた上で、ふるさと納税のみに適用される特例控除として「(ふるさと納税額 – 2000円)×(90% – 所得税率)」の控除を受けることができます。そして所得税の寄付金控除としては、「(ふるさと納税額 – 2000円)×所得税率」の控除を受けることができます。
3-2.ワンストップ特例制度とは
上記のふるさと納税の全体像と控除の内訳は確定申告を行う場合の全体像と控除の内訳になっています。ここで、「えっ、確定申告が必要なの?むしろ確定申告って何?大変そう!」という方も多くいると思いますが、大丈夫です。以前は確定申告を行わないと、これらの控除を受けることができませんでしたが、平成27年4月1日以降は寄付先が5箇所以内であれば、ふるさと納税において確定申告する必要がなくなりました。この制度を「ワンストップ特例制度」と言いますが、この制度が誕生したことにより、気軽にふるさと納税に参加できるようになりました。
3-3.ふるさと納税で確定申告が必要な人とは
ただし、ワンストップ特例制度が利用できない人、つまり確定申告が必要になる人もいるので要注意。ふるさと納税において確定申告が必要になる条件とはどのようなものなのでしょうか。
<ふるさと納税で確定申告が必要な人とは>
- もともと確定申告の必要がある人
- 確定申告することでその他税金の控除を受けられる人
- 年間のふるさと納税先が6団体以上の人
- ワンストップ特例制度の申請日に間に合わなかった人
まず、ふるさと納税において確定申告が必要な人とは、「もともと確定申告の必要がある人」がいます。例えば個人で事業を行っている人や不動産収入がある人などです。「もともと確定申告の必要がある人」の詳細については別記事「確定申告とは?時期や必要書類、対象者など【徹底解説】」の「1-2.確定申告が必要な人とは?」でまとめておりますので、こちらも読んでいただければと思います。
続いて、確定申告が必要な人として、「確定申告することでその他税金の控除を受けられる人」が挙げられます。会社員であれば、毎月給料から所得税や住民税が源泉徴収されて、年末調整により納税手続きが完了しますが、医療費控除や住宅ローン控除等による確定申告することで、税金の控除や還付が受けられる場合があります。その場合にそれらをふるさと納税と合わせて申告することになります。
あとは、この「ワンストップ特例制度」が利用できるのは寄付先が5箇所以内の人のみですので、「年間のふるさと納税先が6団体以上の人」は確定申告が必要になります。または、「ワンストップ特例制度」の対象者であっても、そもそもこの特例制度の申請を忘れるなどして申請締切日に間に合わなかった人は当然、確定申告をする必要があります。
4.ふるさと納税のやり方
続いては、ふるさと納税の実際の手順や流れなどの進め方を解説していきたいと思います。
4-1.ふるさと納税の手順や流れ(ワンストップ特例制度)
まずは「ワンストップ特例制度」における、ふるさと納税の進め方について解説したいと思います。
下図にまとめている通り、まずふるさと納税先を決めて、ふるさと納税を申し込みます。その際に合わせて、ワンストップ特例申請書を提出します。下図のワンストップ特例申請書に必要事項を記入し、マイナンバーおよび本人確認できる書類の写し(マイナンバーカード、番号通知カード、住民票、運転免許証、パスポートなど)とともに提出します。すると、ふるさと納税先団体からは返礼品等のお礼が送られてきます。(申請を行ってからどのくらいで返礼品等のお礼が送られてくるかは、そのふるさと納税先の団体によりますので、詳細はふるさと納税先団体に確認しましょう。)そして、ふるさと納税先の団体は申請内容をふるさと納税した人の住んでいる市区町村(都道府県)に共有します。そうすることで、最終的には翌年度分の住民税が控除(減額)されるという流れになります。
図4:ふるさと納税の仕組み(ワンストップ特例制度)(※クリックすると拡大画像が閲覧できます。)
図5:ワンストップ特例申請書(寄付金税額控除に係る申告特例申請書)(※クリックすると拡大画像が閲覧できます。)
ちなみに先ほどは確定申告を行う際の控除の内訳を上記で解説しましたが、ワンストップ特例制度の際に受けられる控除の内訳は下図のようになります。確定申告を行う場合は、所得税の寄付金控除に関する税金の還付がありますが、ワンストップ特例制度の場合は、こちらの代わりに住民税の寄付金税額控除の申告特例控除があって、最終的にはどちらも実質2000円の自己負担でふるさと納税ができるということになります(ふるさと納税の限度額は所得等によって変動します)。
図6:ふるさと納税の控除の内訳(ワンストップ特例制度の場合)(※クリックすると拡大画像が閲覧できます。)
図7:ふるさと納税の控除の内訳(確定申告する場合)(※クリックすると拡大画像が閲覧できます。)
4-2.ふるさと納税の手順や流れ(確定申告が必要な場合)
続いて、確定申告が必要な場合における、ふるさと納税の進め方について解説したいと思います。
下図にまとめている通り、まずふるさと納税先を決めて、ふるさと納税を申し込みます。そうするとふるさと納税先団体から返礼品等のお礼が送られてきます。その際にも合わせて寄付金受領証明書も送られてきますが、こちらが確定申告に必要になりますので、ちゃんと保管しておきましょう(寄付金受領証明が届かない場合には、早めにふるさと納税先団体に問い合わせて発行してもらうようにしましょう)。続いて、年が明けて3月15日までに確定申告を行い、所得税の納付を行います。確定申告については別記事「確定申告とは?時期や必要書類、対象者など【徹底解説】」でまとめていますので、そちらも合わせて読んでみてください。そして、その確定申告の内容を税務署はふるさと納税した人の住んでいる市区町村(都道府県)に共有することで、税務署からは所得税の還付、住んでいる地区町村(都道府県)からは翌年度分の住民税の控除(減額)が受けられるという流れになります。
図8:ふるさと納税の仕組み(確定申告が必要な場合)(※クリックすると拡大画像が閲覧できます。)
4-3.ふるさと納税のスケジュールについて
ふるさと納税の手順がわかったら、次はスケジュールです。確定申告が必要な場合とワンストップ特例制度が適用される場合に分けて下図にスケジュール感をまとめてみました。
まず、今年ふるさと納税を申し込んだとしましょう。その際に確定申告が必要な人は寄付金受領証明書をもらい、翌年の3月15日までに確定申告を行う必要がありますが、ワンストップ特例制度が適用される人は、ワンストップ特例申請書を翌年の1月10日までに提出する必要があります。その後、確定申告をした人の場合は所得税の還付が5月頃にありますが、ワンストップ特例制度の場合は前述の控除の内訳の通り、所得税の控除はありませんので、所得税の還付もありません。そして6月以降は、確定申告をした人もワンストップ特例制度の人も共通で翌年の5月まで1年間、毎月住民税が控除され、減額されることになります。
図9:ふるさと納税のスケジュール(※クリックすると拡大画像が閲覧できます。)
5.ふるさと納税の限度額について
ふるさと納税は実質2000円の自己負担で様々なふるさと納税先からそれ以上の返礼品をもらうことができます。ただし、2000円の自己負担に抑えるには、各人、収入等の条件によって限度額が決まっています。
続いては、そんなふるさと納税の限度額について計算方法や早見表などについてご紹介していきたいと思います。
5-1.ふるさと納税の控除額の計算方法について
まずは、ふるさと納税において2000円の自己負担に抑えられる限度額の目安についての計算方法をご紹介したいと思います。限度額は、下記の式で求めることができます。
・自己負担額2000円で抑えられる限度額(目安) = (住民税の所得割額 × 20%)/(90% – 所得税率)+ 2,000円
・住民税の所得割額 =(課税所得+5万円※1)× 10% – 調整控除
・調整控除(課税所得が200万円以下の場合)※2 = A、Bのいずれか少ない額の5%(市区町村民税3%、都道府県民税2%)
A:所得税の人的控除額と住民税の人的控除額の差の合計
B:課税所得
・調整控除(課税所得が200万円以上の場合)※2 =(A – B(5万円を下回る場合は5万円))× 5%(市区町村民税3%、都道府県民税2%)
A:所得税の人的控除額と住民税の人的控除額の差の合計
B:課税所得 – 200万円
※1:所得税の基礎控除が38万円であるのに対して、住民税の基礎控除は33万円になっているため上記の「住民税の所得割」を算出するのに5万円を足しています。同様に配偶者控除や扶養控除も所得税と住民税では5万円の差があるので、配偶者控除に該当する人は+5万円、さらに扶養控除に該当する人は+5万円して計算してください。
※2:調整控除は実際に計算してみると、ほとんどの場合2500円になります。ただし配偶者控除に該当する人は+2500円、さらに扶養控除に該当する人は+2500円加算してください。
※上記計算式で求められるふるさと納税の限度額はあくまで目安であり、より正確な金額を知りたい場合は、住んでいる市区町村や税理士等にご確認ください。
実際に具体例を挙げて、計算してみると下記のような感じになります。そもそもの住民税の計算の仕方や住民税の所得割?的な詳細を知りたい方は、別記事「知らずに損してない?サラリーマン必読の節税対策【決定版】」も合わせて読んでいただければと思います。
5-1-1.ふるさと納税の限度額 例1:課税所得が200万円の場合(配偶者控除なし、扶養控除なし)
・住民税の所得割額 =(200万円 + 5万円)× 10% – 2,500円 = 20万2,500円
・自己負担額2000円で抑えられる限度額(目安)=(20万2,500円 × 20%)/(90% – 10%)+ 2,000円 = 5万2625円
5-1-2.ふるさと納税の限度額 例2:課税所得が500万円の場合(配偶者控除なし、扶養控除なし)
・住民税の所得割額 = (500万円 + 5万円)× 10% – 2,500円 = 50万2,500円
・自己負担額2000円で抑えられる限度額(目安)=(50万2,500円 × 20%)/(90% – 20%)+ 2,000円 = 14万5,571円
5-1-3.ふるさと納税の限度額 例2:課税所得が200万円の場合(配偶者控除あり、扶養控除あり)
・住民税の所得割額 = (200万円 + 5万円 + 5万円 + 5万円)× 10% – 2,500円 – 2,500円 – 2,500円 = 20万7,500円
・自己負担額2000円で抑えられる限度額(目安)=(20万7,500円 × 20%)/(90% – 10%)+ 2,000円 = 5万3,875円
5-2.自分の課税所得を把握する方法
自分の課税所得がわかれば上記の式でふるさと納税の限度額を計算して求めることができるのですが、自分の課税所得がわからないという人もいるでしょう。確定申告をしている人でそのような人はいないと思いますが、会社員の方で確定申告をしていない人は、会社から発行される源泉徴収票を見てみましょう。下図の源泉徴収票における①「給与所得控除後の金額」から②「所得控除の額の合計額」を引いた額が課税所得となります。
図10:源泉徴収票より自分の課税所得を把握する
5-3.ふるさと納税限度額の早見表、シミュレーターについて
上記にふるさと納税の限度額を算出する計算式を紹介しましたが、なんだか面倒くさそうという人には、各種サイトにて下図のような早見表やシミュレーターが用意されていたります。パッとおおよそのふるさと納税の限度額を知りたい人は、こちらでチェックしてみると良いでしょう。
図11:ふるさと納税の限度額の早見表(※クリックすると拡大画像が閲覧できます。)
図12:ふるさと納税の限度額シミュレーター
引用:控除上限額シミュレーショントップ | ふるさと納税サイト「さとふる」
6.簡単にふるさと納税するのにおすすめの「ふるさと納税サイト」
ここまでふるさと納税のメリット、デメリットや仕組みやスケジュール感等について詳細を解説してきましたが、ここからは実際にふるさと納税を申し込むためのふるさと納税サイトについて紹介したいと思います。
最近は、ふるさと納税先を返礼品や税金の使われ方等で検索できて、自分に合ったふるさと納税先を簡単に選んで、申し込みまでできる「ふるさと納税サイト」がいろいろ出てきています。ここでは利用者が多く、安心して使える、おすすめの「ふるさと納税サイト」をご紹介したいと思います。
6-1.ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」
ふるさと納税サイトの中でも老舗で、圧倒的な自治体数、返礼品数を掲載しているのが「ふるさとチョイス」です。ふるさとチョイス限定の返礼品もあったりします。また、7割以上の自治体と直接契約しており、それらの自治体については、クレジットカードでの決済が可能となっています。
<ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」の特徴>
- 全国のほぼ全ての自治体を網羅しています。
- 自治体掲載数、返礼品の掲載数であれば圧倒的にNo.1
- ふるさとチョイス限定の返礼品もある
- 7割以上の自治体でクレジットカード決済可能
- ただ、数が多すぎて選べないという声もある
ただし、ネットの口コミでは「数が多すぎて、選べない」という声も挙がっていたりするので、下記に掲載数もそれなりにあり、厳選してお得かつ魅力的な返礼品を載せている「量より質」のふるさと納税サイトをご紹介します。
6-2.ふるさと納税サイト「さとふる」
引用:【公式サイト】さとふる
ふるさと納税サイト「さとふる」の特徴としては、契約する自治体を厳選しているため、返礼品の質も高く、特にランキング上位の返礼品はまずはずれはないと言ってよいでしょう。また、またユーザーレビュー機能もあるため、合わせて確認することでより安心に寄付先を選ぶことができます。さらに、非常に使い勝手が良いというのも特徴で、画面操作もわかりやすく、全ての自治体でクレジットカード決済が可能になっています。また、申し込んだふるさと納税ごとの特例申請書類が、管理画面から自分の住所や寄付先が記載された形でPDFデータとしてダウンロードできたり、申し込み状況、返礼品の発送状況も把握できたりします。独自キャンペーンで返礼品に加えて抽選でプレンゼントが当たる可能性がある点も非常に魅力的です。
<ふるさと納税サイト「さとふる」の特徴>
- ソフトバンクグループで、掲載自治体数も返礼品の数も急増中
- 厳選して掲載する自治体を選定し、質が高く、欠品も少ない
- 全てクレジットカード決済が可能。ソフトバンクまとめて払い、コンビニ決済、ペイジーでも支払い可能
- マイページにて年間納税額が把握できる
- 申し込んだふるさと納税ごとの特例申請書類もダウンロード可能
- 申し込み状況、特産品の発送状況も把握できる
- ユーザーによる評価機能がある(評価人数やユーザー満足度で並び替え可能)
- コールセンターによる電話受付を行っている
- 使い勝手がよく、わかりやすい
- 送料は無料で配送が早い
- 「さとふる」以外で行った寄付の履歴も管理できる
- 独自キャンペーンで返礼品に加えて抽選でプレンゼントが当たる可能性がある
<「さとふる」で人気の返礼品>
特選 いくら醤油漬け 500g(北海道森町:寄付金額10000円)
引用:特選 いくら醤油漬け 500g | お礼品詳細 | ふるさと納税なら「さとふる」
>「特選 いくら醤油漬け 500g(北海道森町:寄付金額10000円)」の詳細はこちら
【厳選三特品】北海道近海産毛ガニ(北海道八雲町:寄付金額10000円)
引用:【厳選三特品】北海道近海産毛ガニ | お礼品詳細 | ふるさと納税なら「さとふる」
>「【厳選三特品】北海道近海産毛ガニ(北海道八雲町:寄付金額10000円)」の詳細はこちら
新潟県奥阿賀産こしひかり10kg(新潟県阿賀町:寄付金額10000円)
引用:新潟県奥阿賀産こしひかり10kg | お礼品詳細 | ふるさと納税なら「さとふる」
>「新潟県奥阿賀産こしひかり10kg(新潟県阿賀町:寄付金額10000円)」の詳細はこちら
6-3.ふるさと納税サイト「ふるなび」
引用:【公式サイト】ふるなび
ふるさと納税サイト「ふるなび」の最大のポイントは、その他のふるさと納税サイトではあまりない家電類や商品券類の返礼品が豊富という点です。また、全ての掲載自治体に直接訪問して直契約を結んでおり、厳選された自治体、返礼品が掲載されており、質も高いという点も非常に魅力的なポイントです。また、「ふるなびグルメポイント」というユニークな仕組みを導入しており、ふるさと納税額の30%分をポイントとして受け取り、そのポイントを有名レストラン等での食事に利用できます(差額は別途支払えばOKです)。
<ふるさと納税サイト「ふるたび」の特徴>
- 家電類、商品券類の返礼品も豊富
- ふるなびスタッフが実際に訪問して契約した自治体のみ掲載している
- クレジットカード決済が可能(Yahoo!公金支払いでのクレジットカード決済が可能)
- Tポイントを使ってふるさと納税を行うことも可能
- 返礼品として「ふるなびグルメポイント」というユニークな仕組みを用意
- 年収2000万円以上の方を対象としてふるさと納税のプランの提案から申し込みまで一括代行する「ふるなびプレミアム」というサービスがある
<「ふるなび」で人気の返礼品>
A4ランク以上 山形牛焼肉セット600g(山形県舟形町:寄付金額10000円)
引用:700<< A4ランク以上 山形牛焼肉セット600g | 山形県舟形町 | ふるさと納税ランキングふるなび
>「A4ランク以上 山形牛焼肉セット600g(山形県舟形町:寄付金額10000円)」の詳細はこちら
創業大正9年 三河一色産うなぎの炭火焼(愛知県碧南市:寄付金額10000円)
引用:A.創業大正9年 三河一色産うなぎの炭火焼 | 愛知県碧南市 | ふるさと納税ランキングふるなび
>「創業大正9年 三河一色産うなぎの炭火焼(愛知県碧南市:寄付金額10000円)」の詳細はこちら
三元豚ボリューム満点セット(山形県庄内町:寄付金額10000円)
引用:【A201】三元豚ボリューム満点セット | 山形県庄内町 | ふるさと納税ランキングふるなび
>「三元豚ボリューム満点セット(山形県庄内町:寄付金額10000円)」の詳細はこちら
7.まとめ
今回は「ふるさと納税」について生まれた背景から、メリット・デメリット、仕組みやスケジュール、限度額の計算方法、そしておすすめのふるさと納税サイトまで網羅的に詳細まで踏み込んで書いてみましたが、いかがでしたでしょうか?
今回の記事を読んでいただければ、ふるさと納税のことは大半がわかるようになっていますので、まだふるさと納税をしたことがない人で、興味がちょっとでも湧いた人は、ひとまずふるさと納税サイトを覗いてみてください。きっとお得な返礼品や寄付したいふるさと納税先が見つかると思います。
ふるさと納税は、「納税」という響きから、なんとなくとっつきにくいと考える人が多いですが、1回ふるさと納税をした人のリピート率は非常に高いため、ぜひ、ふるさと納税にチャレンジしてみてください。