【徹底解説】業務で使う備品の領収書の分割は違法?

【徹底解説】交際費(接待など)の 領収書の分割は違法?
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会社で使う備品の領収書について、予算の関係等で領収書の分割や代金の一部のみの金額で発行にできないかなと思ったことはありませんか?今回はそんな要望にお応えすべく徹底調査の上、備品の領収書の分割について記事を書いていきたいと思います。

目次

1.そもそも領収書とは

2.備品の領収書の分割や代金の一部のみの発行は可能か

  • 2-1.備品は減価償却資産
  • 2-2.減価償却資産である備品は一括で経費計上できない
  • 2-3.金額によっては減価償却資産を一括で経費計上できる
  • 2-4.備品購入費の領収書の分割はOKかNGか

3.まとめ

1.そもそも領収書とは

別記事「【徹底解説】交際費(接待など)の 領収書の分割は違法?」でも書いた通り、領収書とは、商品やサービスに対して支払った代金を証明するための文書で、役割は大きく分けて下記の2つになります。(領収書は支払った側のための文書)

<領収書の分割>

  • 商品やサービスの代金を支払ったことを証明する
  • 支払った代金を再度請求することを防止する

2.備品の領収書の分割や代金の一部のみの発行は可能か

仕事で使う備品の領収書の分割について考える際に重要になるのが、備品はそもそも減価償却資産というものに該当するということです。

2-1.備品は減価償却資産

減価償却資産とは、事業に用いられる建物、建物設備、車両、運搬具、工具、器具・備品、機械・装置、器具備品など時の経過と共に価値が減少するもので、逆に土地や骨董品などは時の経過によって価値を失わない資産は、減価償却資産ではありません。

減価償却資産は、長期間継続的に利用することができるため、会計上、耐用年数に応じた期間で経費計上(損金算入)する決まりになっています。この経費処理の仕方を減価償却といいます。ちなみに減価償却資産の耐用年数は資産の内容によって法令で決まっており、下記リンク先のようになっています。

>減価償却資産の耐用年数表

2-2.減価償却資産である備品は一括で経費計上できない

よって、備品の減価償却資産に該当するものは購入時に一括で経費計上(損金算入)することはできず、上記の図の通り耐用年数に合わせて毎年分割で経費計上(損金算入)することになります。

毎年どのように経費計上(損金算入)するかの減価償却の計算方法についですが、定率法と定額法がありますが、基本的には定額法で計算することになります。定率法で計算する場合には、あらかじめ申請を出して許可をとる必要があります。(平成28年4月1日以降は、「建物附属設備・構築物」について定率法による減価償却が廃止されました)

<定額法の計算式>

対象年の減価償却費 = 購入価額 × 償却率 × 対象年に使った月数 / 12

※償却率は税法で定められており、基本的には「1/耐用年数」なのですが、耐用年数が6年だと1/6 = 0.1666666…と割り切れないため、下記リンク先の通り、税法で耐用年数6年の償却率は0.167と決められています。

>減価償却資産の償却率表

例えば、4月に事業用の自動車(構造・用途:一般的なもの、細目:その他のもの)を200万円で購入した場合、耐用年数は6年のため、購入年に経費処理できるのは「2,000,000 × 0.167 × 9 / 12= 250,500」で250,500円となります。

2年目は「2,000,000 × 0.167 × 12 / 12= 334,000」で334,000円、3年目、4年目、5年目、6年目も334,000円で、7年目は備忘価額1円を残すため「2,000,000 – ( 250,500 + 334,000 × 5 ) – 1 = 79,499 」となります。

2-3.金額によっては減価償却資産を一括で経費計上できる

減価償却資産であっても、金額によっては一括で経費計上が可能です。

10万円未満のものについては、減価償却資産ではなく消耗品として一括で全額経費計上できるようになっています。

また、10万円以上20万円未満のものについては、一括償却資産として、法定耐用年数にかかわらず、3年間で均等に償却できるようになっています(例えば18万円のパソコンの場合、買った日にちに関わらず、1年目に6万円、2年目6万円、3年目に6万円となります。一括償却資産の償却は残存価額が0とされていますので、3年後の帳簿残高は0になります)。ちなみに一括償却資産は、固定資産税の対象外(償却資産申告書の提出も不要)となるというメリットもあります。

また、青色申告者の場合には、30万円未満のものであれば、一括で全額経費計上できる特例(少額減価償却資産の特例)もあります(ただし、時限措置。そして合計限度額300万円まで)

ちなみに、別記事「【徹底解説】交際費(接待など)の 領収書の分割は違法?」でも書いた通り、この「10万円未満」等の金額が税込金額か税抜金額かというのは企業によって異なります。下記のように「税込経理」を採用している企業は税込で計算し、「税抜経理」を採用している企業は税抜で計算することになります。

<税込経理と税抜経理>

ほとんどの大企業では税抜経理を採用していますが、中小企業では税込経理を採用している企業もあるため、自社のルールをしっかり確認しましょう(年間の売上が1000万円以下で、消費税の納税義務が免除されている事業者は、必ず税込経理方式で会計処理する必要があります)。税込経理を採用している場合、税抜で30万円未満の場合でも、税込では30万円以上になってしまうので少額減価償却資産の特例は適用されません。

2-4.備品購入費の領収書の分割はOKかNGか

よって、上記のことから、備品購入費の領収書の分割については、領収書を分割することで、意図的に備品購入費の金額を下げて、消耗品として一括で経費計上(損金算入)したり、少額減価償却資産として一括で経費計上(損金算入)した場合には違法行為、脱税行為となります。

3.まとめ

今回は会社で使う備品の領収書の分割についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?備品購入費の領収書の分割がどうしても必要な場合には、会社の経理や税理士に確認の上で分割するようにしましょう。また、交際費の領収書の分割については、別記事「【徹底解説】交際費(接待など)の 領収書の分割は違法?」も読んでみてください。

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